生成されるグラデーションはグラデーションではない
2024年前半頃に作成したデータについて解説します。
グラデーションツールで単色(特色濃度100%)から透明(特色濃度0%)になるグラデーションです。(A参照)黒の矢印で指し示している部分までは均等に濃度100%が入るはずなのですが、データ上でもよく見ると黒の矢印で指し示している位置の前後が濃い色になっているのがわかるでしょうか。このデータを最終、印刷(印刷業者に依頼)まで進めて商品をお客様に納品したところ、納品先の顧客からクレームが入りました。納品された商品を見るとAの写真で示したように黒の矢印周辺が一番色味が濃く出ており(筋が入ったような状態)本来矢印より下の部分も全く同じ色(濃度100%)で出るべきところが薄くなっているんです。(参照B)
しかも濃度100%より上の部分がすごく汚いムラのあるグラデーションになっています。
私自身、DTP業界で20年以上仕事をしていますが、年々イラレの品質低下が著しいことを恐らく長年愛用されている方ほどお気づきかと思います。
20年程前もグラデーションツールで作成したグラデーションをフィルム印刷するとグラデーションの段階がまるで階段のように縞々にでたことを思い出しますが、その解決方法として使用していたのがブレンドツールという強い味方。ステップ数を細かすぎるというくらいに細かい設定にすることでスムースなグラデーションを再現できます。
が、しかし。
今回の件で次回の印刷に向けて解決策を講じようとブレンドツールで同じグラデーションを作成したものの、いくらステップ数を増やそうとも、なめらかなグラデーションにならないのです。(C参照)
そしてcの画像を見て観察眼の鋭い方ならお気づきかと思いますが、
テップ数50のところを見て気づきませんか。一段一段のステップがグラデーション表現されており、そのグラデーションがまさに上に向かってゆくにつれて濃く表現されていることを。
本来であればもちろん一段一段のステップが同じ均一の色味になるので絶対にこういう表現になるはずがないですよね。
グラデーション表現の不具合と同じことが、このブレンドツールに於いても起こっています。
今回実際に商品としてお客様に納品しており、このグラデーションの不具合が原因で金銭的損失を被りました。
グラデーションツールに問題があった時の回避策としてブレンドツールを使っていたのに、それも使い物にならないとなったら、この手のデザインは使えなくなります。
深刻に受け止めていただきたいですし、細部にまで注意を払って改善していただきたいです。
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Thanks for the detailed explanation, Egor. Much appreciated.
fu_ckadb 様
Egorが下で書いているのですが、ご存知のようにグラデーションがプリンターに送られたあと、そのラスター化はプリンターのラスターイメージプロセッサーによって処理されるため、Illustratorアプリケーションが処理する範囲ではなくなります。
今回の場合、原因究明のために印刷機情報が必要です。印刷会社に状況を説明していただいて、印刷機の情報をいただけますか?また、ポストスクリプト印刷されていたかの情報もいただけると助かります。原因究明のためによろしくお願いいたします。 -
If a gradient is given to a printer as a real gradient, that rasterization of it is handled by the printer’s RIP, and Ai has nothing to do with it.
Some RIPs can gradually transition colors, some can deal with integer values only — in this case the number of steps is obviously capped by the possible number of transitions between start and stop colors. That is, if you blend K90 into K100, you will get only 11 steps — and if your art is large enough, this banding would be extremely noticeable. Plus you have to remember the visible banding on screen you observe is happening due to the 8 bit space AI is bound to. The same gradient in Photoshop’s 16 bit would be smoother.I know modern RIPs can deal with it automatically, by introducing per channel stepping, or just add noise automatically, but Ai’s role here is still just to handle the gradient instructions to the RIP.
The hard transition we can see in the photo B can be explained differently. Transitions in Illustrator are always linear, and going from 97-98-99 to a large 100 is visible even on screen, and is even more on paper, due to the dot gain at least. This is not exactly Ai’s fault as well, you just have to know this happens and learn how to workaround it.
Printing is NEVER a 1 to 1 reproduction and we deal with real world here, real inks and papers.There are related UV entries on the same topic you might want to upvote:
1. A request to have 16 bit mode in Ai: http://illustrator.uservoice.com/forums/333657/suggestions/32235478
2. The very similar 'I see banding' report: http://illustrator.uservoice.com/forums/601447/suggestions/46982974
3. A request to introduce noise control for gradients directly in Ai: http://illustrator.uservoice.com/forums/333657/suggestions/34272166 -
fu_ckadb commented
PCM Megumi様
入稿先の印刷会社に印刷機の情報をもらうということでしょうか?
弊社ではOKIの昇華型プリンタを使用していますが、弊社のプリンタ情報ではないということですよね?それならその情報は知り得ません。入稿先の印刷会社名の情報なら提供できますが。 -
fu_ckadb様
何か紛らわしい書き方になってしまっていて申し訳ありません。最近はGPUプレビューをそのまま印刷する印刷会社も増えているそうで、この場合ですと今回のような色斑が発生してしまうことがあるようです。
投稿に記載していただいた20年前に印刷したときと印刷方法がまた違った可能性があるのではないかということで、伺っています。
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fu_ckadb commented
PCM Megumi様
プリンター情報のどの部分に関してでしょうか?
勘違いされていないとは思いますが、念の為ここで記載の「印刷」とはプリンターでの印刷ではございません。 -
fu_ckadb 様
UserVoiceへのご投稿ありがとうございます。
ご迷惑をおかけしていて申し訳ありません。参照画像と合わせて詳細に問題を報告していただき、ありがとうございます。こちらの問題に関しまして、プリンター情報をいただくことは可能でしょうか?
よろしくお願いいたします。